GPLライセンシングは独禁法違反ではない

あまり日本では話題になっていないが、在シカゴの弁護士Evan Brown氏が運営するブログInternet Casesによると、アメリカではGNU GPLによるライセンシングは独禁法に抵触しない、という司法判断がくだされたらしい。本家/.でもストーリーになっている

IBMやRed Hatその他の企業が、GNU/LinuxをGPLに基づき競争不能な価格、すなわちタダで頒布しているのは、OS市場への新規参入を妨げて競争の阻害要因となる、だから独禁法に抵触する、というのが原告の論理だったようだが、これに対して「誰に対してもずっとタダなんだから将来独占価格付けをするとかできないでしょ」「別にWindowsとかMac OS Xとかタダじゃないけど今でも消費者は買ってるじゃない」というのが裁判所の理屈のようである。まあそりゃそうだよね。

当り前と言えば当り前の結論だが、こうしてGPLに関する法的不確実性の外濠がひとつ埋まった(アメリカにおいてだけだが)のは喜ばしい。ただ、誰に対してもずっとタダ云々というのは本当はそんなに自明なことではない。最初はオープンソース・ライセンスで出して、競合する製品を駆逐し、後でプロプライエタリ化する、ということも不可能ではないからだ(実例はSSH)。ただ、最後にフリーだったバージョンからフォークされたりして、実際にそういうのがうまく行ったためしはないのですが…。